CHANGEMAKERS #05 人生100年時代をどう生きるのか 福嶋 美佐子 助教(ヒューマンエンパワーメント推进局)
キャリア教育やアントレプレナーシップ教育の充実を目指す
福嶋助教の研究対象は
「外国人高度人材」と
「人生100年时代の生き方」

ヒューマンエンパワーメント推进局
福嶋 美佐子 助教
PROFILE
东京女子大学文理学部社会学科卒业。
The American University, College of Arts and Sciences, Sociology
留学后、东京ガス株式会社西山研究所にて主任研究员の傍ら、
法政大学大学院政策科学研究科博士后期课程単位修得退学。
博士(政策科学)。
2023年3月より筑波大学ヒューマ ンエンパワーメント推進局キャリア支援チーム助教。
国家資格キャリアコンサルタント。専門社会調査 士。
筑波大学に、ヒューマンエンパワーメント推进局(BHE)が開設されて1 年が過ぎました。学生の就職支援からダイバーシティ、インクルーシブ社会への取り組みなど、多様な施策を行っているのがヒューマンエンパワーメント推进局です。その専任教員として、多忙な日々を過ごされているのが福嶋美佐子助教です。筑波大学の人材育成プロジェクトが科学技術振興機構で採択され、大学院博士後期課程の3分の1以上が支援対象となりますが、この支援にも関わっている福嶋さん、実はアメリカの大学院への留学経験から、「人生100年時代」とも言われる中で、人はどう生きるのかも研究対象だと言います。
1人1人をエンパワーメントするっていうものです。以前はダイバーシティ?アクセシビリティ?キャリアセンターっていっていて、特定の人をサポートする、ダイバーシティだから女性とか尝骋叠罢蚕とか障がいとか、何かそういう何か问题を抱えている人のためのセンターだったんですけど。现在は、そうではない人も含めて1人1人をサポートするっていう部署ですね。
そうです。私は一つにするべきだと思っています。というのは、キャリアとは何だと考えたときに、以前、圣路加国际病院名誉院长の日野原先生が、「命っていうのは时间のことだ」とよくおっしゃっていたんですが、私はその时间の积み重ねがキャリアだから、命の使い方じゃないですけども、キャリアだと思っています。そうすると、そのときに必要なのは、自分のことだけではなくて自分が社会とどう関わっているのかという视点なので、自分が障がいを持っている持っていないに関わらず、持っていたら持っていたで、それを解决しなければならないでしょうし、自分がそうではないと感じていたとしても、そういう人たちと一绪に学ぶことによって、视野を広げる必要があると思いますので、自分のキャリアを考えるときには、両方の部署が一绪になる必要があると思っています。
私が持っている授業がいくつかあるのですが、なるべく障害がいとか LGBTQ などを身近に感じてもらえるように取り組んでいます。例えば昨年オンラインで、お茶の水女子大学と ICU と筑波大学の学生が一緒に勉強するという機会があったのですが、その時は授業のゲストとしてデフサッカー、聴覚障害者サッカーの日本代表である筑波大学の卒業生に、ゲストとして参加していただきました。
筑波大学の博士后期课程の学生とおよそ2600人ぐらいなのですが、そのうち1150人は国费留学生や社会人学生ということで経済的な问题はありません。実际に経済的に困っているのは残りの1450人ぐらいだと考えた场合、これまでは学振、日本学术振兴会からの経済的支援程度しかありませんでしたが、3~4年前に闯厂罢(国立研究开発法人科学技术振兴机构)が大型プロジェクトを立ち上げました。それが、先日の発表した厂笔搁滨狈骋(次世代研究者挑戦的研究プログラム)というものです。筑波大学の厂笔搁滨狈骋は、昨年までで444名だったんですが、それが今年度は565に増えました。さらに言うと、今年度始まる叠翱翱厂罢(国家戦略分野の若手研究者及び博士后期课程学生の育成事业)というものがあって、そちらは础滨人材に特化したものなのですけども、それも同じ闯厂罢のものです。これは50人ぐらいだったと思いますけれども、そうすると全体で600人。ですので、元々ある学振も含めると対象となる学生の3人に1人以上に経済的な支援ができます、という话が先日の発表になります。
分野によってばらつきが大きいですね。それこそAI 人材とかIT 系は引く手あまたで、IT 系の先生方のところには、いろんな企業から日夜と問わずの問い合わせというか、誰か学生を紹介してくれませんか、みたいな状況です。
一方、一番厳しいのは人文社会系ですね。そちらはなかなか先が见えないというか。そういうこともあって、博士のキャリアパスのときには、人文社会系の学生が考えるヒントになるようにと思っています。少し前には、外务省国际机関人事センターの方にお话をしていただいた、ということもありました。

はい。私の研究対象は、「外国人高度人材」となっています。それから、50代60代の生き方というところも研究してきました。経歴ということでいうと、留学をしたところから話したいと思います。私はアメリカの大学院に留学をしたのですが、そのときの研究テーマはEquality &Equity、公平と公正でした。
帰国后は公司の研究所に勤务いたしましたが、そこで2つの大きな仕事をしました。1つは大学のキャリア教育の仕事で、これは、その研究所が受託をしていたものなのですが、ある大学の授业を担当するということで、その担当者が私でした。授业の构成はもちろんですが、毎週ゲスト讲师を呼んで提供するという授业だったので、谁をゲストに呼んでくるかといったところも含めて、全て私が担当していました。その授业には、10年近く関わっていました。
もう一つは、キャリアに関する社内調査をしたり、本を書いたりということでした。また、その頃は「企業と人材」という雑誌で、定年退職後の時間を計算すると7万時間くらいになるのですが、その時間をどう使うかという連載を持っていました。7万時間というのは、子供が小学校から大学までの学習時間と同じくらいかそれ以上ということで、相当な時間になります。この連載は、2012 年に「好きなことで70歳まで働こう! 」というタイトルで 書籍にもなっています。それから、研究所に勤めているときに、夜間の大学院の博士課程に通いました。
当时は60歳定年だったと思いますが、60歳定年で何もすることがないというのは、せっかく体が元気なのに寂しいですよね。では、それから70歳までどうしましょうということで私は、縦轴を「新しいコミュニティ」と「これまでのコミュニティ」とし、横轴に「働く」と「楽しむ」を设定して、そこに现れる4象限について、各々を具体例から绍介するという内容でした。
そうです。


いろんな意味でいいと思います。一つはその個人ですね。以前は大学を卒業する22 歳ぐらいまでの教育で、後の人生を送っていたわけですけども、今は30 代40 代でもいいですし、それこそ定年退職した後でもいいので、もう一度何かを学んで新しいことを知ることによって、新しい自分になれるという流れがあって、これは楽しいだろうなだと思います。
それから大学としても、筑波大学だと18歳から27 ~ 28 歳までの学生を対象にするだけではなく、もっと広い方たちの学びの場になるということが良いだろうと。これは経営的にも良いでしょうし、大学としても豊かになるだろうと思います。色々な世代の人がいることが、それこそダイバーシティの観点からもいいだろうなと思います。
おっしゃった通りで、60歳になったから価値がないのかっていうと、そうではないので难しいです。难しいというか、年齢差别と言いたいのに言えないところかなと思います。先ほどアメリカに留学したと话をしたが、大学院に编入する前にアメリカでまず英语学校に通っていました。そこは大学付属の英语学校で、その英语学校がカンバセーションパートナーとしてネイティブの人とペアになって勉强をするというスタイルでした。その时の私の相手が、たまたまその大学の元学长で、当时も现役の教授をされている方でした。以来、その方とはずっと仲良くさせていただいていて、この3月にも会ってきたのですけど、93歳の今も现役で大学で教えていらっしゃるんですよ。こういう方に60 歳でお终いというのは、それこそ差别だと感じますね。
はい。それは解雇规定が阻んでいるのだと思います。もちろん、その93歳が今でも働いているということは、一方で谁かの职を夺っているわけです。きっと。ですので、日本はそれじゃいけません、ということなのかもしれないですね。
私は、先ほどの93歳のお手本があるので、なんとして何かをしなければという気持ちがあります。现在のことで言いますと、昼间は筑波大学で働いていますが、その他に2つの非営利団体に関わっています。そのうちの1つは途上国の教育支援をするものです。こういうところ、定年があるわけではないです。
はい。ここは世界的なネットワークなので、年に1回か2回、国际会议に出席したりもしています。それからもう一つは、东京郊外なのですが、理事としてインターナショナルな学生寮の运営に関わっています。
これはもうすごく自慢です、私。

学生が、食堂などいろいろな场所で投票用纸を配ったらしいんです。その投票の结果、私の授业を取ったことあるか、何か私と接点があった学生の多くが投票してくれた、ということらしいです。

息抜きですか。週1 築地、月1 卓球です。私は築地の近くに住んでいるのですが、築地を起点として歩ける範囲でしか引っ越したことがないと。
はい、买い物ですね。日常の买い物で、大体は市场で済ませています。肉も鱼も。
月1。(笑)
大好きです。まさか私がそんな好きだとは、自分でも思わなかったのですが。筑地の近くということで、私は自然豊かではないところに住んでいて、ずっとその生活で満足していると思っていたのですが、筑波大学に毎朝通うようになって、バスから降りたときの緑の気持ちよさというのは、何とも言えないですね。
第一エリア前です。気持ち良いです。それと、もちろん緑が豊かっていうこともあるのですけども、私はヒューマンエンパワーメント推进局のキャリア支援チームで一緒に働いている人たちが大好きなんですね。人柄っていうこともそうでしょうけども、優秀な方ばかりで。
転职とか留学とか。今も働いているけど、これからどうしようかなみたいな。
そうですよね。ここであまり宣伝してしまうと卒业生で一杯になってしまうので、受け付けますとまでは言いませんけれども。でもね、そうやって思い出してくれるということは、いいことだなと思います。やはりみなさん、大学时代が良かったからこそ、そうやって頼ってくれるわけですよね。それは感じます。

ヒューマンエンパワーメント推进局としてではなく、私個人としてということで言うと、キャリア教育とアントレプレナーシップ教育を繋ぎたいと思っています。アントレプレナーシップ教育に関して、筑波大学では産学連携本国際産学連携本部という、私たちとは別の部署が行っています。そちらはそちらで良いと思うのですが、私の場合は入学時からのキャリア支援と言いますか、教育をしているので、そこをずっと辿っていった結果、そこの授業にも繋がるようにしたいと思っています。具体的には来年度1 科目を新しく開設する準備をしています。それは、先ほど申し上げた博士のキャリアパスという、博士課程の学生向けの授業なのですが、今は春にやっているものを、こう1つ秋にも作れるということで、そちらは留学生も取りやすいように、英語の授業にしようと考えています。
アントレプレナーシップというと、何となく起业と思いがちですよね。もちろん、研究を突き进めた结果、自分がやりたいことを実现するために自分で起业するというのも良いのですが、様々な场所で働く上でアントレプレナーシップのマインドは、谁にとっても必要なものだと思っています。谁かと谁かを繋げて新しいプロジェクトをしようとか、あるいは新しい仕组みを考えようとか、そういったことは、别に会社勤めをしていても必要なことだと思うので、何かそこに繋がるような授业とか役割を果たしたいというのが、次の小さな小さな目标で、でも何とか実现させたいと思っています。

「好きなことで70歳まで働こう!」
(笔贬笔研究所ウェブサイトより)
急速に少子高齢化が進む日本。今の40代、50代が定年を迎える頃には、「年金支給は70歳から」 となっている可能性が高い。
そうなると、「定年後は悠々自適」とはいかず、70歳まで働き続けなくてはいけなくなる。
どうせ働くなら、定年后こそは好きなことを仕事にしたいもの。
そこで本书では、定年后もいきいきと働く60歳以上の方々の実态を调査。
◎70歳から介护职员に転身した元商社マン
◎憧れのタクシー运転手へ転身した元エンジニア
◎退职前から続けていた讲师业で売れっ子になった元メーカー社员
など、みな自分の好きなことを仕事にしており、元気いっぱいで70歳、75歳まで働く势いである。
それらの人は何が违うのか。どんなサラリーマン时代を送ってきたのか。仕事はどこから取ってくるのか──。
彼らへの彻底取材から、定年以降もいきいきと働ける人々の特徴が明らかになった。
年金、健康、孤独、夫妇関係、生きがい......「定年后の不安」が一気に消え、今の会社生活にも希望が涌いてくる1册!
文库书き下ろし。
[聞き手 広報局次長 髙井孝彰]