【Nature Index Selection】脳の神経細胞が行う掛け算の仕組みを解明(Research highlights 2022年1月)
シュプリンガー?ネイチャーが運営するデータベースサイトNature Indexでは、毎月、主要な82ジャーナルの中から、本学所属の研究者による研究論文1報を、Research highlightsとして選出しています。2022年1月は、本件が紹介されました。

朝起きて、体を动かし、ご饭を食べて、寝る。そうした私たちの日常生活全ての间、脳の神経细胞が活动しています。そして、その活动に応じて物を认识し、感じ取り、行动を生み出します。この脳活动はよく计算に例えられます。コンピューターは0と1を组み合わせた2进数で计算しますが、脳の神経细胞はどのように计算しているのか、その根本的な计算の原理はよく分かっていませんでした。
本研究では、数学を用いた新たな解析技术を开発することで、神経细胞の集まりが、期待値と呼ばれる确率と量の掛け算を行う仕组みを発见しました。
具体的には、ヒトと同じように期待値を计算する训练をした実験动物のサルで、脳活动を记録しました。その记録した脳活动を、线形代数と多変量解析と呼ばれる二つの数学的な手法を组み合わせた、新开発の技术で解析しました。従来の解析手法は、便宜的に脳の神経细胞の活动を一定时间の平均として捉えていたため、ごく短时间の间に瞬间的に现れる脳の活动を捉えることができませんでした。しかし、新たに开発した解析手法では、时々刻々と変化する脳の神経细胞の活动を真に0.02秒毎に捉えて、精密に解析することができます。
その结果、実験动物のサルでは、脳の中の二つの领域(前头眼窝野中央と腹侧线条体)が、期待値を计算していることを示す活动をすることが明らかとなりました。まるで、ヒトが暗算をするようにサルが瞬时に掛け算を行っていることを意味するような、脳の神経细胞の活动です。
今回开発した脳活动の解析技术は、谁でも简単に、ほぼ全ての神経活动データを解析することが可能です。この技术を用い、脳における新たな计算の仕组みが続々と発见されることが期待されます。