【Nature Index Selection】海洋無酸素事変で堆積した地層は地震時に滑りやすい ?生物大量絶滅と地震の意外な関係?(Research highlights 2021年11月)
シュプリンガー?ネイチャーが運営するデータベースサイトNature Indexでは、毎月、主要な82ジャーナルの中から、本学所属の研究者による研究論文1報を、Research highlightsとして選出しています。2021年11月は、本件が紹介されました。
海沟型地震は、プレート境界が地震时に高速(秒速约1?)で滑ることで発生します。2011年东北地方太平洋冲地震では、プレート境界浅部が大きく滑ったことで、巨大津波が発生しました。その后の研究で、このプレート境界浅部は、スメクタイトと呼ばれる摩擦の低い极细粒の粘土で主に构成されていることが明らかになりました。
しかし、プレート境界深部における地震発生过程は不明でした。そこで、本研究では、岐阜県各务原市の木曽川沿いに露出するかつてのプレート境界深部を调べました。
その结果、地震时の断层滑りは、黒色の有机质粘土层に沿って発生していたことが明らかになりました。この有机质粘土层は、海中から酸素がなくなることで、有机物が分解されず粘土とともに深海底に降り积もることで出来たものです。このような海洋无酸素事変は、地球の歴史の中で何度か起きていますが、各务原市の有机质粘土层は、今から约2亿5200万年前の古生代-中生代境界をまたいで数百万年続いた海洋无酸素事変によるもので、生物の大量絶灭が起きたと考えられています。
试料を採取し実験室で详细に调べました。すると、地震时の断层滑りにより粘土层が900-1100℃以上の高温で溶けてシュードタキライトと呼ばれる岩石になり、有机物の热熟成度が顕着に増加していることが分かりました。更に、シュードタキライトの両侧にある岩石が、数ミリ幅に渡り热による破壊を受けている証拠も见つかりました。
本研究は、プレート境界深部では粘土层が地震时に溶けることで断层が滑りやすくなること、そして、周囲の岩石が热により破壊されることで断层滑りが加速することを示唆しています。生物の大量絶灭をもたらした海洋无酸素事変は、実は地震时の断层滑りに影响を与えていたことが明らかになりました。