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TSUKUBA FUTURE #092:ショウジョウバエは美しい

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生存ダイナミクス研究センター(TARA) 島田 裕子 助教


 生物学、特に遗伝学の発展には、ショウジョウバエを用いた研究が大きく贡献してきました。ショウジョウバエは、卵から成虫になるまで10日间と短い上に、饲育が简単でスペースも取らないなど、実験动物に适しています。分子生物学が登场したことで、生物の発生や行动を支配する遗伝子の机能に関する研究が加速し、ハエのみならず、マウスやヒトにも共通する遗伝プログラムの理解が进みました。


実体顕微镜下で観察しながら幼虫を解剖し、调べたい器官を取り出す。
 ショウジョウバエは美しいとつくづく思う


 子供の顷から「なんでこんなに违う形の昆虫がたくさんいるのだろう、しかもその1つひとつにいったい谁が名前をつけたんだろう?」と不思议に思っていた岛田さんは、大学では昆虫に関係する研究をしたいと决めていました。そこで出合ったのが、ショウジョウバエを用いた発生遗伝学の研究でした。卵から孵化した幼虫は饵に潜り込んで摂食し続け、2回の脱皮を経て蛹となり、成虫になります。1齢幼虫から蛹になるまでの约4日间で体重は200倍にもなります。その间、幼虫の体内では、各组织の成长を促进する消化?代谢活动と、やがて成虫になる準备が行われています。それらの生命活动全体を协调的に操っているのがステロイドホルモンです。このホルモンが、栄养に応答して适切なタイミングで生合成されることで、幼虫は脱皮?変态を経て成虫になれるのです。栄养摂取に伴って幼虫の体内ではどのタイミングでホルモン生合成が诱导されるのか、成熟を司るシグナル伝达経路はどうなっているかの解明が、岛田さんの研究テーマです。発生学の分野の中で、発生の时间轴に沿ったタイミング调节机构は、まだわかっていないことが多く残されているそうです。岛田さんたちは、ショウジョウバエ研究の成果によってこの分野を先导していけるのではないかと期待しています。


 人とは违い、ショウジョウバエの幼虫は食べ过ぎることがないそうです。必要な栄养を満たした段阶で饵から离れ、蛹になる準备をします。岛田さんたちは、その仕组み、摂食行动によって味覚神経が刺激され、その信号が食道下神経节という摂食中枢に伝わる仕组みの解明を目指しています。その手掛かりとして、摂食中枢と连络し、ホルモン生合成器官(前胸腺)や胃肠に伸びている神経経路を新たに発见しました。それらの神経は、セロトニンという神経伝达物质を分泌していて、その神経机能を阻害すると、脱皮ホルモン生合成のタイミングが遅れます。さらにそのセロトニン神経は、幼虫の栄养状态が悪いと、前胸腺にきちんと连络できないこともわかりました。その际には、脱皮ホルモンの生合成が遅れ、蛹になるタイミングも遅れます。セロトニンは、各种动物で様々な机能を担う物质ですが、ステロイドホルモン生合成に作用するというのは、世界初の発见でした。しかも、栄养状态に応じてセロトニン神経の连络パターンが変化するというのも画期的な発见です。


 昆虫の脱皮?変态で重要なステロイドホルモンは、「脱皮ホルモン」とも呼ばれるエクジステロイドです。前胸腺という内分泌器官において、コレステロールを原材料として、いくつかの生合成酵素が介在することで生合成されます。エクジステロイド生合成酵素をコード(指定)している遗伝子は、これまでに10种类近く同定されており、お化けや幽霊にちなんだ名前が付けられているため「ハロウィーン遗伝子群」と総称されています。岛田さんは、夫で共同研究者でもある丹羽隆介准教授らの研究グループの一员として、ハロウィーン遗伝子群の机能解析も行ってきました。近年、そのハロウィーン遗伝子の1つであるスプーキア遗伝子のスイッチをオンにする転写因子をコードするウィジャボード遗伝子の机能解析を行いました。「スプーキア」とは「お化けのような」という意味です。ウィジャボードというのは、西洋の降霊术游び用の文字盘の名前です。「ウィジャボード」遗伝子は「お化け(スプーキア)」遗伝子を呼び出す役割を担っていることから、この名前を选びました。この分野の研究では、そういう游び心を楽しむ伝统があります。


 2017年5月からは独立した研究室を构え、ますます研究に迈进しています。家庭でも、研究のことで思いついたことがあると、丹羽さんとすぐに话し合える生活は愿ってもない环境です。もちろん、サッカー少年である10歳の息子さんとのオフの时间も大切にしています。ただ1つの不満は、息子さんが昆虫に全く兴味を示さないことだとか。その分、ショウジョウバエの研究に集中しています。


「ウィジャボード」遗伝子は、キイロショウジョウバエの
脱皮ホルモンを生成する酵素スプーキアの遗伝子のスイッチをオンにする


文責:広報室 サイエンスコミュニケーター


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