張替 真理亜さん(TSUKUCOMM Vol.50)

宇宙ミッションを成功へ导く地上の立役者
有人宇宙システム株式会社 新事業開拓室 訓練インストラクタ 張替 真理亜さん
-训练インストラクタというのはどういう仕事ですか
一言で言うと「宇宙飞行士の先生」です。国际宇宙ステーションに行くことが决まった宇宙飞行士たちに、そこで仕事をするための训练をします。国际宇宙ステーションでは、构成するモジュールを各国が分担して开発?运用していて、日本はそのうちの実験栋「きぼう」を担当しているので、これに関连する训练は日本で行っています。
ステーションに行くことが决まると、打ち上げまでの间、宇宙飞行士は各国を回って、それぞれの国が担当する训练を受けます。日本での训练は、ステーション内での日々の生活や「きぼう」で行う実験作业、さらには、火灾や空気漏れなどの紧急事态への対処までを含みます。つくばには、実物大の设备が作られていて、1~2週间の训练を何度か行います。宇宙飞行士にとっては、ここで学ぶことが全てなので、间违った情报を伝えると、文字通り命取りです。责任重大ですが、そこがこの仕事の醍醐味、やりがいでもありますね。
-あまり知られていない职业ですが、きっかけはなんだったのでしょう
子供の顷、映画「アポロ13」を観て、みんなの知恵を集めて协力するとすごいことができるんだ、こういう仕事がしたい、と思ったんです。宇宙ミッションを支える管制官に憧れたんですね。出身は福冈なのですが、つくばに宇宙センターがあることも、子供なりに调べました。
それで大学では物理学を専攻し、管制官を目指して就活もしました。実际に面接も受けたのですが、その时の面接官が、训练の方が向いているのでは、とアドバイスしてくれたんです。训练インストラクタという仕事があることはなんとなく知っていましたが、おおっぴらに募集はしていないので、どんなことをするのかがわかったのは、実际に仕事を始めてからでした。
结果的には、この仕事は自分にとても向いていると思っています。人と接することが好きですし、相手の反応も直接伝わってきます。宇宙飞行士の方々からいろいろなお话も伺えますし。

-それでは最初から筑波大を狙っていたのですね
そうなんです。宇宙センターを目指すなら、そこに一番近い大学へ进学するのがチャンスも大きいだろうと。
もう一つの理由は、他の学群の授业を自由に受讲できたことです。専攻は物理学でしたが、それ以外の授业も受けられるオープンな环境がありました。知りたいことがあればなんでも学ぶことができる、反面、选択肢が多くて悩むこともありましたが、それも含めて魅力でした。
振り返ると、学生生活は楽しかったです。陆の孤岛などと言われ、寂しい思いをしたこともありますが、宿舎生活などを通して、幅広い友人ができましたし、亲元を离れ、落ち着いて自分に向き合って成长できる机会だったと思います。
宇宙飞行士の训练はすべて英语で行うので、筑波大で英语をしっかり学べたことや、留学生の友人と日常的に英语でコミュニケーションしていたことが、とても役立ちました。また、大学院ではプラズマ研究センターで研究したのですが、ここでは、たくさんの研究者が大掛かりな装置を使って一つの実験をするので、自分の担当する作业の位置付けを意识したり、全体のシフトを组んだりと、みんなで一つの仕事を成し遂げるプロセスも、すごく勉强になりました。
-これからの目标や、やってみたいことはありますか
当面のことで言えば、今は海外からつくばへ训练に来ることが难しくなっていますので、リモート技术を駆使して、できるだけ実际の装置の操作や空间认识に近い体験ができるような、新しい训练方法を探っています。言叶や映像だけでなく、痴搁(仮想现実)技术を使うなど、これまでとは全く违うコンテンツ作りにチャレンジしています。宇宙飞行士からの评判も上々なんですよ。
宇宙産業には民間企業も参入してきていて、将来は、宇宙旅行も可能になります。ただ、旅行とは言っても、飛行機や電車のように気軽で安全ではありませんし、宇宙環境は厳しいので、なにかしらの訓練が必要になるでしょう。 決められたミッションのために選ばれた宇宙飛行士とは異なり、別々の背景や目的を持つ人たちに向けた訓練というのも考えていきたいですね。
职业柄、宇宙生活の大変さは想像できるので、仕事として宇宙へ行きたいとは思いませんが、家族旅行なら行ってみたいです。特に若い人たちには、地上では得られない剧的な体験になるでしょうし、そういう体験をした人が増えれば、世界も変わるのではないかと思います。
-筑波大で学ぶ后辈に向けてメッセージを
筑波大はいろいろな可能性を探ることができる场です。授业もキャンパスも开かれていて、望みさえすれば、知识も、人との交流も、どんどん広がります。
自分の场合は、进路の希望がある程度决まっていましたが、そうではなく进学する人も多いでしょう。希望があっても、やってみたら何か违う、ということもあります。それが大事なんです。まだまだ知らないことはたくさんあるし、もっと自分に合うことが见つかるかもしれません。そのチャンスは目の前に転がっています。
PROFILE
1984年 福冈県生まれ
2006年 筑波大学第一学群自然学类卒业
2008年 筑波大学数理物质科学研究科修了
有人宇宙システム株式会社入社
同社で训练インストラクタとして活跃
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