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TSUKUBA FUTURE #113:やわらかな物質が見せてくれる美しい世界

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数理物質系 菱田 真史 助教


 细胞膜の基本构成要素である脂质。水との驯染みが良い部分とそうでない部分との、二重膜构造になっています。水と驯染まない部分を内侧に向け、袋状になったものが细胞です。その中に、核や顿狈础などが入っているわけです。ヒトの体のおよそ60%が水だと言われていますが、细胞膜が里返しになっていたら、人体を构成することはできないのです。ところが、脂质自体の物理的?化学的な性质や机能は研究されているものの、それが水中で自然と膜や细胞の构造を形作る(自己组织化)仕组みについては、あまりよくわかっていません。菱田さんは、脂质や界面活性剤、ポリマーなどのやわらかい物质(ソフトマター)が自己组织化するメカニズムを研究しています。中でも最近は、溶媒である水の役割を探っています。これは、生命にはなぜ水が重要かといった问いにも深く関わっています。


 やわらかい、ということは分子间の结合が弱いことを意味しています。脂质膜も、分子同士が直接结合しているわけではなく、水を避けるようにして分子が规则的に并んでいるだけです。それなのに、膜としての强度はなかなかのもの。水があるだけで、そんな强度を発挥するのは不思议です。単纯でありふれた物质である水が、何らかの重要な働きをしているはずです。とは言え、水分子そのものの挙动を観察することは実はとても难しく、研究手法も限られています。そのため、ここにチャレンジする研究者も多くはありません。そこで菱田さんは、「远赤外线テラヘルツ分光法」というちょっと特殊な方法を使って、水分子一つひとつのミクロの动きを把握し、そこに溶けている脂质膜などの构造にどう関わっているかを调べています。


顕微鏡を覗く菱田さんの写真

やわらかな物质の作る构造や动きは不可思议で、ずっと眺めていても饱きることがない


 分光法というのは、物质に光を当て、その吸収から物质の性质を调べる方法です。物质の特徴や调べたい性质に応じて、様々な光(波长)を使い分けます。テラヘルツ分光法は、远赤外线领域の波长を持つ电磁波であるテラヘルツ波を用います。ただしこの方法では、ピークのはっきりしない曖昧なデータしか得られません。いろいろな理论を当てはめ、ピークの成分を分解することが必要です。そのためのプログラミングや装置のカスタマイズも自分で开発しなければなりません。そういった解析技术が菱田さんの専门。腕の见せ所です。


 研究には、分光法の他にも様々な手法を用いています。顕微镜で、膜の形ややわらかさを直接観察することもできますし、齿线や中性子线を照射して、ナノメートルスケールの构造を调べたり、温度を変化させた时の构造の変化を见たりする场合もあります。そういったデータを総合的に解析し、膜と水との间で何が起こっているのかを探っていきます。ソフトマターは、化学构造が似ていても、周囲の状态が违うと、强度や吸着性など全く异なる机能を発现することがあります。やわらかいからこそ、构造や性质を复雑に変化させるのです。


 顕微镜で膜の挙动を见ていると、とても美しい色や形が现れ、热などのちょっとした刺激で目まぐるしく変化したりします。それはいつまででも眺めていられる美しさだと、菱田さんは言います。その美しさを研究とは别の形でも表现したいと、アート作品の制作にも取り组んでいます。时には一人で、时にはアーティストやエンジニアたちとチームを组んで、映像やインスタレーション作品を作ります。数年前にある芸术祭のコンペに出品したことをきっかけに、以来、あちこちの芸术祭や展覧会に作品を出展しています。そういった展示では、実験室でいつも使っている试薬などを気軽に使うことはできませんから、限られた材料や空间で表现する苦労もあります。それでも、普段の研究ではめったに出会うことのないフィールドの人たちや観客から意外な反応が返ってきたりして、それが新たな発见となり、研究にも生かされます。


菱田さんが手がけたアート作品の写真

茨城県北芸术祭2016に出展した「干渉する浮游体」。
シャボン玉も膜。その美しい色(构造色)をじっくり眺められるよう、空中に浮かせる工夫を施した。
他のアート作品(写真?动画)も自身のホームページで公开中


 たくさんの実験をして、様々な情报から一つのことを理解する。それが菱田さんの得意とする研究スタイルです。研究室にある装置だけでなく、いろいろな実験手法を駆使して、膜と水との本质に迫っていきたいと考えています。特定の物质や机能に狙いを定めずに、纯粋にやわらかな物质たちが作る美しく面白い构造を知り、またそのでき方を知りたい、これが一番のモチベーションです。膜を中心に、物理、化学、生物、芸术、たくさんの分野への兴味が広がります。




文責:広報室 サイエンスコミュニケーター


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