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TSUKUBA FUTURE #085:平面に広がる新しい材料の世界

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数理物質系 近藤 剛弘 准教授


 原子や分子が1层だけの平面构造で连なった物质を「二次元物质」といいます。新素材として注目されている炭素の二次元物质グラフェンが有名です。同じ炭素という元素なのに、原子同士の结合状态によって、ダイヤモンドやグラファイトなど、全く异なる性状の物质を形成し、グラフェンになると、强度や导电性で特别な特徴を示すようになります。そうしたことから、様々な二次元物质が盛んに研究されるようになっています。近藤さんは、水素とホウ素で构成される二次元物质、ボロファンに着目しました。理论的にはグラフェンよりも优れた性质を持つという予测がなされていたのですが、実际にはまだ作られていませんでした。


研究の话になると思わず表情が変わる


 研究を始めておよそ1年、ボロファンを作るための出発物质に関する论文を発表しようとした矢先に、インドの研究者が同じ内容の论文を発表してしまいました。残念ながら、研究の世界は早い者胜ちです。次の成果で胜负するしかないと気持ちを切り替えました。研究を加速して、出発物质からボロファンができるメカニズムを明らかにし、ついにボロファンの生成に成功しました。今度こそ、近藤さんが世界に先駆けました。


 ホウ素と水素からなる物质といっても、その构造はいくつもあります。実はボロファンとは、それらの総称です。近藤さんは新しく生成したボロファンを「ホウ化水素シート」と命名しました。これは、ホウ素がマイナス、水素がプラスに帯电していることを意味しています。ホウ素の不思议な性质のひとつは、プラスにもマイナスにも帯电することです。通常、ホウ素はプラスに帯电し、水素と结合する场合も、水素の方がマイナスに帯电しています。このようなタイプの化合物は「水素化ホウ素」と呼ばれ、すでに何种类も知られています。些细なことのようにも思えますが、「ホウ化水素」であることこそが、この物质の新しさなのです。それによって、特异な性质が生まれるのです。


 ホウ化水素シートは、一见すると、薄黄色のポロポロした粉末です。それを电子顕微镜で観察すると、何枚か重なったティッシュペーパーがくしゃくしゃになっているように见えます。その1枚1枚はどのような原子配列でできているか、齿线回折や光吸収などの方法で详しく解析してみました。すると、基本骨格はホウ素原子が六角形状に并んでおり、その间の特定の场所に水素原子が规则的に配置されるという、ちょっと変わった构造であることがわかりました。水素もホウ素も軽い元素です。このため、材料としても全体としても軽量である上に、热を加えると水素だけが放出されます。つまりホウ化水素シートは、水素を贮めておくことのできる材料なのです。燃料电池自动车や家庭用燃料电池など、水素は燃料电池の燃料としても注目されていますが、极めて軽い気体のため、输送や保管に难があります。しかしホウ化水素シートの中に吸蔵すれば、固体燃料として持ち运び可能なうえ、必要な时に取り出すことができるのです。


原料の二ホウ化マグネシウム(左)と生成されたホウ化水素(右)


 高校までは化学よりは物理の方が好きだったという近藤さん。それが、大学に入り、化学反応を物理学の视点で捉えて理解する手法を知り、化学がどんどん面白くなったそうです。新しい材料を创出する研究は、物质として新しいものを合成するだけで终わるのではなく、その构造や性质を绵密に调べ、応用の可能性を探るところまでを含みます。ですからたくさんの研究者と力を合わせることも大切です。たとえば、化学反応で得られた混合物から目的の化合物だけを取り出したり、调べたい性质に応じて适切な测定条件を设定するなど、それぞれの実験にその道の専门家が求められます。近藤さんの研究も、他の大学や研究机関のチームと协力することで、ここまで到达できました。そうやって、これまでにない性质?机能を持つ材料、すなわち役に立つ材料を作ること、それが研究に取り组む大きなモチベーションです。


 ホウ化水素シートは导电性物质としても有望で、理论的には超伝导を示す可能性があります。実用化の研究が进みつつあるグラフェンよりも高速に电子が流れることも予想されています。また、异なる二次元物质を组み合わせると、それぞれの持ち味に応じて新しい性质が発现します。ホウ化水素シートと他の二次元物质とを复合させられれば、さらに高机能な材料へと発展する期待も高まります。生まれたばかりのホウ化水素シートをどのように育てていくか、近藤さんのチャレンジは続きます。


文責:広報室 サイエンスコミュニケーター


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