TSUKUBA FUTURE #056:図書館情報学から知識情報学へ

図書館情報メディア系 大庭 一郎(おおば いちろう)講師
头の中にある考えは、文字や画像など、何らかの形で外部に记録されて初めて、知识や情报として保存され、共有されます。古くは、洞窟の壁画や粘土板に刻まれた文字などとして记録されていましたが、时代とともに、印刷物、音声や动画も含めたデジタルデータへと情报メディアは変化してきました。それだけでなく、ネットワークの発达により、情报の利用方法も大きく様変わりしています。どの时代にあっても、情报を共有することは、新しい知识を生み出すための基盘でした。情报メディアの蓄积は社会発展のための知识资源なのです。大庭さんは、ダイナミックな変貌を遂げつつある情报メディアに対応する、知识资源の共有やそれに必要な人材の育成に取り组んでいます。
印刷物を介した知识の共有を推进する机能を担ってきた図书馆。図书馆という仕组みを中心とした情报のやり取りを対象とした分野は図书馆情报学と呼ばれてきました。しかし上述したように、図书馆が果たすべき机能や情报共有のあり様は大きく変わってきています。図书馆という箱に留まらず、情报知识の共有活用を学际的に研究する必要性から、知识情报学という分野が登场しました。情报は、数学や物理学だけでなく、哲学や法律などの侧面からもアプローチ可能な分野です。そこでは、既存の文系?理系の境界に意味はありません。知识情报学は、真の文理融合を目指した先端的な领域なのです。

学生の基础学力を养うために自ら选书した书架
近年、民间への业务委託の试みなど、公共図书馆の経営について様々な动きがあります。大半の図书馆は公的な资金で运営されており、私たちは无料で利用することができます。非営利の施设に、経営という概念はそぐわないという考え方もありますが、公费を投入するからこそ、求められる机能を最大限はたすための、しっかりとした経営戦略やマネージメントが必要とされます。図书馆が提供するサービスの基本は、知识や情报が记された文献へのアクセスを容易にし、利用者の活动を支援することです。図书馆の経费で最も大きいのは、书籍の购入やデータベースの利用契约など、资料の収集にかかる経费です。これは図书馆の根干に関わりますから、削减は困难です。そうなると、経费削减のしわ寄せは人件费にも及びます。図书馆员の専门的知识や技能が今まで以上に问われることになります。情报をネットで検索するにしても、适切なキーワードがわからなければ的确で効率的な検索はできません。また、情报の信頼性を判断するリテラシーも必要です。図书馆には、调べものの相谈にのったり、课题解决の支援をするレファレンスサービスという重要な机能があります。起业家に対する知识支援に力を入れる公共図书馆も登场しています。选书にしろレファレンスサービスにしろ、适切なサービスを提供するためには、急速に変化する情报メディアを捉えつつ、広い分野の基础を理解していることが大切なのです。図书馆情报大学を母体とする知识情报?図书馆学类の学生にそのようなリテラシーを身につけてもらうために、大庭さんは、人文?社会?自然科学の多様なレベルの资料をそろえるなど、学生の学习环境の整备に注力しています。

书架を巡回する足取りは軽く、解説も滑らかだ。
大庭さんと図书馆との出合いは、通学していた熊本の小学校でした。そこには珍しく2つの図书馆があり、纸の书籍だけでなく、教育番组などを収録したカセットテープの音声资料も収蔵されていたのです。本を読むことももちろん好きでしたが、それ以上に、いろいろな资料にアクセスできる図书馆という场所に兴味を持ちました。その顷から比べると、図书馆の様相も、情报メディアのテクノロジーも剧的に変わりました。この先も変化は続くでしょう。図书馆研究者にとってそんな剧的な时代に居合わせたことにワクワクしながら、大庭さんは次代を担う人材の养成に燃えています。
文責:広報室 サイエンスコミュニケーター