大象传媒

社会?文化

TSUKUBA FUTURE #051:中央アジア?可能性を秘めた交流の地

タイトル画像

人文社会系 DADABAEV Timur(ダダバエフ ティムール) 准教授


 ユーラシア大陆の中央部、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの5か国が「中央アジア」と呼ばれる地域です。レアメタルの产出地であり、中国やロシアの大市场と隣接するこの地域は、重要な贸易拠点。日本からは离れていることが幸いして、直接的な衝突や紧张を悬念することなく互いに安心して交流できるパートナーとして大きな潜在力を秘めています。


 とはいえ、日本から見た中央アジアはまだまだわかりにくい地域です。なぜでしょうか。 多民族のイスラム文化圏だった中央アジアの国々は、ソビエト連邦の支配下では社会主義体制にありました。そのため現在は、その時代を経験した世代とそうではない新しい世代とが同居しています。もともとアラビア語やペルシャ語を使っていたのが、ソビエト時代にはロシア語に変わり、独立後は再びもとの言語に戻ったため、使える文字や言語だけをとっても、世代間に違いがあります。また、言語が変わるたびに大量の書物や資料が継承されなくなり、歴史を伝えることも困難な状況です。この地域の国民性や人々のアイデンティティを形成する上で、世代ごとの経験や記憶がどのような影響を及ぼしているのか、ダダバエフさんは探っています。


 研究の第一段阶は情报収集、つまり、现地での闻き取り调査です。まず、世代や民族、教育や职歴、出身地?居住地などをカテゴライズし、それに合致する対象者を探します。有効な调査にするには、国ごとに、最低100人のサンプルが必要です。その一人ひとりに直接会って、数时间のインタビューを行います。その様子を録画し、现地语を英訳してデータ化します。もちろん一人でそのすべてはできません。现地も含めた各国の研究者でチームを组みます。準备に半年、インタビューに1か月、このサイクルを繰り返してデータを集めていきます。


闻き取り调査の様子闻き取り调査の様子02

闻き取り调査の様子


 こうやって得たデータを分析するのが第二段阶です。チームの各研究者がそれぞれ分析をし、それらをまとめて报告书や书籍として出版します。研究者によってデータの解釈は必ずしも一致しませんが、重要なのは様々な视点や考え方を提示すること。その多様性が学问を発展させるのです。このデータはいずれ公开することにしています。ヨーロッパやアジアについては、同様の调査结果がデータベース化されていますが、中央アジアに関してはこの研究が初めての试みです。世代や地域を超えてデータを共有することで、さらに研究が広がるはずです。

 敢えて远い日本で中央アジアを研究するのには理由があります。现地では研究の支援も少ない上、ソビエト时代を扱う研究は现政権への批判と受け止められ、研究活动が制限される悬念があるのです。客観的に调査し、それを国际社会に伝えるには、第叁者の立场にたたなくてはなりません。ダダバエフさんは、研究から得た外交の方策やアイデアを大使馆関係者などと议论し、现実の政策に生かすことにも积极的です。日本で行う研究だからこそ、真に中央アジアとの関係発展に还元できるわけです。


研究室にはウズベキスタンの工芸品が饰られており、话题が自然とお国の话に

研究室にはウズベキスタンの工芸品が饰られており、话题が自然とお国の话に


 ウズベキスタンがソビエト连邦から独立した当时、高校生だったダダバエフさんは、新しい国の建国に贡献しようと、大学で外交を専攻しました。1995年、外交官としての就职が决まっていましたが、それを保留して日本に留学しました。最初に住んだのは京都。よそ者には住みにくいイメージの强い土地柄ですが、ダダバエフさんにとっては意外とすんなりと入り込めました。実はウズベキスタンにも、町内会のような密な地域コミュニティの文化があるからです。また、ウズベク语と日本语は文法がとても似ていて、単语さえ置き换えれば言叶が通じるというのも便利でした。当初は留学を终えたら帰国し、外交官になる予定でした。しかし日本で学ぶうちに、政府のメッセージを他国に伝えるだけでなく、国同士の理解に必要な诸问题を理解し説明する方が、より深く外交に携わることができると考えるようになり、研究者に転身しました。1年半の滞在予定は大幅に延长され、20年が経ちました。その间、日本と中央アジアとの関係も徐々に深まっています。この地域に対して、日本にしかできない外交のあり方を提言する役割を担う、ダダバエフさんの出番はますます増えそうです。


文責:広報室 サイエンスコミュニケーター


関连リンク