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TSUKUBA FUTURE #017:パフォーマンスを上げるための心理学講座

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人間系 外山 美樹 准教授


 ものごとや将来のことをポジティブに捉える楽観的な人は、心身ともに健康で高いモチベーションを持続できるため、学业やスポーツなどで高いパフォーマンスを発挥できる。一方、ネガティブに捕らえる悲観的な人は体调も悪く、すぐにあきらめてしまうのでパフォーマンスを発挥できない。つまり楽観主义は良いことで悲観主义は好ましくない、というのがこれまでの常识でした。


 しかし悲観的な思考はほんとうに良くないことなのでしょうか。たとえば野球のイチロー选手。彼は大リーグで数々の记録を打ち立てている絶好调の真っ最中に、こんなことを言っています。「自分は失败の连続です。あした打てなくなるのではないかと不安になります。どれだけがんばっても先がないんです」と。他の発言を见ても、彼はどうやら相当な悲観主义者のようなのですが、大成功を収めていることは谁の目にも明らかです。このように、悲観主义者の中にもパフォーマンスの高い人がいます。外山さんは、この「防卫的悲観主义者」に注目しています。


悲観主义でも防卫的悲観主义者は予想される失败に备えるため、成功を导く可能性がある。

悲観主义でも防卫的悲観主义者は予想される失败に备えるため、
成功を导く可能性がある。


 防卫的悲観主义者は、プレゼンや试合などで成功したい状况に直面すると、前回まで成功していても、今回は失败するのでは、と考えます。セリフを忘れてしまうのではないか、パソコンが动かなくなってしまうのではないか等々、ありとあらゆる失败の想定をします。しかしそこで、十全な準备?练习をしたり、バックアップを用意したりするなど、彻底的に対策を练るのが、ただの悲観主义者とは违うところ。不安をモチベーションに変え、结果的に本番では高いパフォーマンスを示すのです。ですから彼らにとっては、「リラックスして」というアドバイスは逆効果。无理に失败イメージを持たせないようにすると、パフォーマンスが明瞭に下がることが実験でも証明されています。


周囲との比較による自己概念の持ちようで、本来の能力と成績が逆転しうるの画像

周囲との比较による自己概念の持ちようで、本来の能力と成绩が逆転しうる。


 もうひとつ、外山さんが取り組んでいるテーマは「自己認知」、つまり自分のことを自分でどう認識するかということです。私たちは自分の能力を判断するとき、周囲のレベルと比較します。本来の自分の能力は決して低くないのに、自分よりも優れた人々の集団に属している と、相対的な比較で自分は劣っていると認知してしまいます。するとモチベーションが低下してパフォーマンスも下がるという悪循環に陥りかねません。高校時代は成績が良かったのに、がんばって勉強してレベルの高い大学に入ったら、みんな優秀で落ち込んでしまう、そんな感じです。ということは、大きな池の小さなカエルになるよりは、小さな池の大きなカエルになる方が良い成果を出せる可能性があります。これを「井の中の蛙効果」といいます。同じ自分なのに、自己認知が環境に左右されるというのは興味深いことです。井の中の蛙になれなかった人が、いかに肯定的な自己概念を形成できるか、そのプロセスを探っています。


個性を伸ばすには正しい自己認知が欠かせないと語る外山准教授

个性を伸ばすには正しい自己认知が欠かせないと语る。

大学院生と学群生が一绪に研究を行うプログラムも积极的に実施している。

大学院生と学群生が一绪に研究を行うプログラムも积极的に実施している。


 心理学と一言にいっても、扱うテーマは広范囲に及びま す。东京教育大学时代からの伝统を引き継いでいる筑波大学には、心理学の多彩な领域の研究者がそろっています。多くの学生は、カウンセリングのようなことをイメージして心理学専攻を选んで入学してきますが、それだけではない心理学の世界を知って惊くそうです。アンケート调査や行动観察、テーマによっては动物実験もありますから、统计学や脳科学などの知识も必须です。防卫的悲観主义者にしても、井の中の蛙効果にしても、结论だけ闻けば当然のように思えますが、それを科学にするためには緻密な调査やデータ分析などの検証が必要です。
悩んでいる人の手助けをしたい。それが、外山さんの心理学の道に进んだ理由です。ただし、どんなに研究しても、他人の心の中を言い当てることはできません。性格や行动パターンをいくつかの类型に分けることはできますが、それはあくまでも统计的な倾向です。実际には一人ひとりの个性は异なりますから、同じ类型の人でもそれぞれに适したアドバイスや指导が必要です。いかにモチベーションやパフォーマンスを上げるか、どうすれば谁もが少しでも活き活きと暮らしていけるか、そのヒントが心理学の中にあります。


文責:広報室 サイエンスコミュニケーター


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