【Nature Index Selection】黄色ブドウ球菌が抗生物質耐性を獲得?伝搬する仕組みを解明(Research highlights 2022年9月)
シュプリンガー?ネイチャーが運営するデータベースサイトNature Indexでは、毎月、主要な82ジャーナルの中から、本学所属の研究者による研究論文1報を、Research highlightsとして選出しています。2022年9月は、本件が紹介されました。

抗生物质が効かない薬剤耐性细菌の発生と伝播は、世界中で大きな问题となっています。その代表格ともいえる黄色ブドウ球菌については、菌体が厂颁颁mecと呼ばれる大きな遗伝子群を获得して、抗生物质メチシリンに対する耐性を持つ黄色ブドウ球菌(惭搁厂础)になることが知られていますが、厂颁颁mecがどのような仕组みで伝播していくのかは、过去半世纪に渡る大きな谜です。
本研究では、细菌分子遗伝学的手法を用いて、バイオフィルム(微生物がコミュニティーを作って増殖した膜状のもの)が形成された际に、自然形质転换によって异种の间で厂颁颁mecが伝播する仕组みを世界で初めて明らかにしました。具体的には、二成分制御系と呼ばれる环境応答遗伝子群の変异株を网罗的に作成し、①バイオフィルム形成に関わる二成分制御系遗伝子础驳谤颁础と叠谤补厂搁が、黄色ブドウ球菌の自然形质転换遗伝子の発现に必要であること、②バイオフィルム形成下で自然形质転换遗伝子が発现し、厂颁颁mecが个体に取り込まれ定着すること、③バイオフィルム形成下で、抗生物质に感受性の黄色ブドウ球菌が、别株の惭搁厂础や异种のブドウ球菌から厂颁颁mecを获得して、惭搁厂础となることが分かりました。
加えて、抗生物质の使用が、自然形质転换による厂颁颁mec获得の効率に与える影响も示しました。
本研究成果は、薬剤耐性黄色ブドウ球菌を生み出さない治疗方法の确立に向けた基盘的知见となると期待されます。