大象传媒

医疗?健康

TSUKUBA FRONTIER #037:アスリートの価値をもっと豊かに

山口教授の写真

体育系 山口 香(やまぐち かおり) 教授

PROFILE

1989年筑波大学大学院修士课程体育研究科修了。6歳で柔道を始め、13歳の时に第1回女子全日本选手権(50办驳以下级)で最年少优胜、その后10连覇を达成。1984年世界选手権优胜(52办驳级)、ソウル五轮铜メダル获得(52办驳级)など、女子柔道界の先駆者として活跃。1989年に现役引退后は、コーチングやアスリートのセカンドキャリアなどに関する研究?教育に携わり、2007年武蔵大学人文学部教授、2008年筑波大学体育系准教授などを経て2018年より现职。日本学术会议会员、东京都教育委员会委员、日本バレーボール协会理事なども务める。

スポーツの社会的意义を高めるためのセカンドキャリア

世界で活跃する日本人トップアスリートが増えてきました。しかしどんなに优れた
アスリートでも、いずれは引退し、普通の社会人として生きるステージがやってきます。
そのときに、どのような道を选び、どのように社会と関わるか、
现役で竞技に取り组んでいる间は、そこまで考える机会があまりないのが现状です。
一生悬命にスポーツに打ち込んだアスリートたちの生き方を、
社会に还元できる形にするための、セカンドキャリア教育が求められています。

重要性を増すスポーツマネジメント

山口教授研究室

 多くの人がスポーツを日常的に楽しんでいます。けれどもスポーツの世界は、竞技を行ったり、试合を観戦することだけで成立しているわけではありません。それぞれの竞技を盛り上げていくためには、有能な人材を発掘し、指导し、トップアスリートにまで育て上げ、さらに、引退后のキャリア形成に至るまで、一贯したマネジメントが必要です。また、そういった选手强化をバックアップする各种スポーツ団体の组织运営や、スポーツ政策とのリンクなど、さまざまな视点から、スポーツ界全体のシステムを学问的に考察しています。
 アマチュアスポーツが主流だった時代の名残か、スポーツ団体の運営は、競技に関わる有志のボランティアに頼ることが多く、規則よりも、師弟関係などの人間関係に 左右されやすい面があります。そのため、何か問題があっても互いにかばい合い、アスリートたちの華々しい活躍の裏に隠されてしまいがちです。
 多くの競技で日本人アスリートが活躍するようになった背景には、国によるスポーツ支援政策があります。施設を整え、選手強化に税金が投入されると、説明責任や費 用対効果の検証などが求められますから、スポーツ団体のガバナンスにも注目が集まります。そのための指針である、スポーツ団体ガバナンスコードの策定(2019年)にも関わりました。


トップアスリートの社会的役割

  ハラスメントやコロナ祸でのオリンピック开催など、スポーツを巡る问题は、しばしば社会的な议论になります。ところが、それに対して自分の意见を述べるスポーツ関係者はごくわずかです。そんな中で、批判的なことや政治的なことも含めて积极的に発言を続けてきました。それにはトップアスリートゆえの理由があります。
 男性だけのスポーツだった柔道の世界に飛び込んだ頃、男性と女性とでは体格もメンタルも異なり、それぞれに適した練習環境が必要であることは認識されていま せんでした。そんな中では、生意気だなどと言われながらも、意見や要望をはっきり主張することが、強くなるために必須だったのです。自分の意見を率直に発言する姿勢は、その経験から培われました。
 また、オリンピアン、メダリストであることは、単なる个人のキャリアではありません。トップアスリートになるまでには、国や社会からたくさんの援助を受けており、それを社会に还元する义务があるはずです。特别な経験をしたからこそ得た豊かさや価値観を持ち、それに基づいて堂々と発信することは、本来担うべき役割。だからこそ海外では、トップアスリートは、社会的な影响力を持ち、リスペクトされるべき人物として认められます。日本でも、同じような考え方が広がって然るべきです。


スポーツの価値とセカンドキャリア

 アスリートにとっては、その竞技で一番になるという目标は掲げられても、その先にも人生があることにまでは考えが及びにくいものです。ですから、保护者や指导者が适切な指导をしなければ、将来に役立つさまざまな教育を受ける机会を逸してしまうかもしれません。世界中を転戦するトップアスリートたちも、スポーツ関係者や支援者以外との交流は意外となく、ファンや近しい人々から无条件に讃えられ大事にされる日常を、当たり前に感じることも珍しくありません。そうやって、いざ、引退して社会に出たときに、人々の见る目の変化に戸惑い、结局、同じような仲间とグループを作って、再びその中に闭じてしまう。アスリートに対する社会的リスペクトが高まらないことや、なかなか根絶できないスポーツ団体の不祥事も、そういった闭锁性に根本的な原因があると考えられます。
 次々と登场する若いアスリートたち。しかし、竞技成绩やプレーの格好良さだけに注目していては、スポーツが社会的资源や文化的価値のあるものとして成熟しません。それは、アスリートたちにとっても残念なこと。セカンドキャリアについてしっかり考え準备することは、アスリート自身の人生を豊かにしつつ、次の世代のアスリートたちのロールモデルとなり、スポーツ人材育成の意义を向上させます。


将来を考えるからこそ顽张れる

 自分自身のセカンドキャリアを考えた时、女性として柔道を始めた最初の世代であることを强く意识しました。柔道一筋にやってきた女性が、竞技の第一线を退いても社会的に重要な地位について活跃できる、キャリアを选べる、ということを示したいと考えたのです。指导者であり教育者であり研究者であることのできるポジションとして、大学は大きな选択肢でした。后辈たちにも、同様の道に进む人が多く、高等教育における女子柔道?女子スポーツの位置付けを変えていく动きにもつながっていきました。
 ただ、すべてのアスリートが、引退后もスポーツに関わり続けるとは限りませんし、スポーツ以外でも同じように顽张れるものではありません。厳しい练习に耐えられるのは、それが自分の好きなことであり、目指すべき目标があるからです。また、トップアスリートほど効率良く练习をしますから、现役时代は试合や练习以外のことに充てる时间的余裕がないというのも、素人の误解です。活跃できる时期や期间が限られるアスリートは、出产や子育てといったライフイベントや、学业との両立、健康管理などについて、実は、他の人たちよりも緻密に向き合う必要があります。将来の道筋を见据えればこそ、今ここで全力を尽くせるという考え方が、少しずつ浸透してきています。


本当のスポーツの力を见つける

 「スポーツの力」が謳われる一方で、特にオリンピックに関しては、近年、さまざまな问题が浮き彫りになっています。それでも人々は、オリンピックを无条件に特别なスポーツイベントとして扱いがちです。しかし本当にはどんな力、価値があるのでしょうか。メダルを取ったからといって人生が保証されるわけでもなく、竞技のために犠牲にしたものも多いでしょう。周囲の期待に応えられずに深刻に思い悩むアスリートの姿も目にします。実际にアスリートたちに深く闻き取り调査をしていくことで、エビデンスをもって、真のオリンピックの価値、スポーツの力が见えてくるはずです。
 スポーツ界は、自らスポーツの価値を客観的?批判的に捉えることに対して消极的です。けれども、そういったデータを明らかにした上で、アスリートの教育や指导を行うことは、これからのスポーツ文化や社会におけるスポーツの役割を确立するためにも不可欠。チャレンジはまだまだ続きます。




スポーツウエルネス学学位プログラム

山口教授の写真

少子高齢化、高度情報化、自由時間の増大等に伴い、国民生活におけるスポーツや健康の位置づけはますます大きくなっている。こうした社会的要請に応えるために、主にスポーツ振興やスポーツビジネス、競技力強化、健康関連企業、健康施策分野の現職者を対象に、スポーツと健康の 社会?文化的資源の整備とともに、それらを有効に活用するシステムを開発し、自在に政策立案やマネージメントを展開していける高度な専門家の養成を目指す。
(研究室鲍搁尝:


 

(文責:広報局 サイエンスコミュニケーター)