医疗?健康
【Nature Index Selection】ドーパミンニューロンが選択肢を選ぶ脳内指令を出す ~合理的な意思決定を行うメカニズムの発見~(Research highlights 2020年12月)
シュプリンガー?ネイチャーが運営するデータベースサイトNature Indexでは、毎月、主要な82ジャーナルの中から、本学所属の研究者による研究論文1報を、Research highlightsとして選出しています。2020年12月は、本件が紹介されました。
薬物依存症や强迫性障害では、合理的な意思决定が困难になります。これらの疾患の主な病因の一つは、中脳ドーパミンニューロンの异常です。しかし、ドーパミンはいわゆる「快楽物质」であると考えられており、ドーパミンを产生するニューロンの异常がなぜ合理的な意思决定を阻害するのかは不明でした。本研究グループは、価値に基づく意思决定が求められる行动课题を、ヒトに近縁なマカク属のサルに行わせ、课题遂行中のサルのドーパミンニューロンから神経活动を记録しました。その结果、选択肢が提示されて、サルがそれを选ぼうかどうか决めようとしているとき、ドーパミンニューロンは、选択肢の価値が高いほど强く活动を上昇させました。一方、选択肢の価値に関わらず、サルがその选択肢を选ぶときだけ活动を上昇させるドーパミンニューロンや、选択肢の価値とサルの选択行动の両方を反映した活动を示すドーパミンニューロンも多く见つかりました。ここで得られた特に重要な知见は、ドーパミンニューロンは、选択肢が提示された直后は选択肢の価値を反映して活动しますが、选択肢を选ぼうかどうか决めようとしている间に、选択行动を反映した活动に変化することです。これまで意思决定の中枢として注目されてきた前头叶の眼窝前头皮质からも神経活动を记録しましたが、本研究により、ドーパミンニューロンの方が、より早く価値から选択への活动変化を生じることがわかりました。以上のことから、意思决定のメカニズムとして、选択肢の「価値情报」をその选択肢を选ぶのかどうかの「选択指令」へといち早く変换しているのは、霊长类で最も発达した高次中枢である前头叶ではなく、进化的に保存された中脳のドーパミンニューロンであることが明らかになりました。

図 実験室の様子と行动课题