大象传媒

生物?环境

TSUKUBA FUTURE #045:らくらく栽培トマトの遺伝子を求めて

タイトル画像

生命環境系 有泉 亨(ありいずみ とおる) 准教授


 トマトは世界中で爱されている野菜です。国别の人口一人当たりの年间摂取量の世界平均は约20办驳とされています。日本でもトマトの生产量、消费量は野菜のなかでトップクラスです。それでも1人当たりの年间消费量は8.7办驳で、世界平均から见ると少な目です。これには、食文化も関係しているかもしれません。日本では生食が主流ですが、世界では调理用が多くなります。日本では、加工用トマトのほとんどは输入ですが、生食用トマトはほぼ自给しています。日本では比较的甘いトマトが好まれており、ブランド化も进んでいて、1个1000円以上という高级トマトまで登场しています。ブランド化、高価格化には、生产に労力がかかることも関係しています。その最大のネックは着果作业です。着果促进剤(受粉しなくても実をつけさせるためのホルモン剤)をスプレーしたり、バイブレーターを用いて受粉させたりと、1个1个の花を処理する必要があるからです。媒介昆虫であるマルハナバチを利用する方法もありますが、购入费用がかかる上に、ハウス外に逃げださないための施设管理が必要です。农业従事者の减少と高齢化が进む中、悩ましい问题です。


さまざまな変异体のなかから有用な系统を选び出す。

さまざまな変异体のなかから有用な系统を选び出す。


 有泉さんが属する研究チーム(蔬菜?花卉学研究室)は、大量のトマトに突然変异を起こし、その中から有用な形质を选抜する研究をしています。研究に使用しているトマトはマイクロトムという特别な品种です。もともとは园芸品种として1989年に米国で観赏用として作られた矮性の品种です。背丈が15?20センチあまり、种子をまいてから3カ月ほどで実がなる便利さから、トマト研究用のモデル品种として普及しています。筑波大学遗伝子実験センターは、マイクロトムの大规模変异体集団(1万系统以上)を保有しています。この果実はあまり食用には向きませんが、他の品种との交配が可能なので、通常の品种改良の手顺を用いて有用な変异を他の品种に导入することが可能です。


 有泉さんのチームが特に力を入れているのは、着果作业をしなくても実がなる遗伝的な変异を见つけてその仕组みを调べ、有用な品种を作り出すことです。前述したように、トマト栽培のネックの一つは、着果作业が大変なことです。研究は、何千株ものトマトから有望な変异体を选抜することから始まります。ちょっとした変化を见逃さず、有望そうな株を选び出すのです。受粉をしなくても実がなる性质は単為结果性と呼ばれます。通常は、雌しべの先端に付着した花粉から花粉管という管が雌しべの奥まで伸びて受精を果たして初めて、子房が膨らんで実に成长します。しかし単為结果性の変异体では、受粉も受精もなしに実が成长するのです。ただし、単為结果では、実は大きくなりますが、种子はできません。种子をとるためには、受粉が必要です。単為结果性トマトでも、受粉をさせれば种子をもつ実がなるのです。


トマト品种マイクロトムの野生株(左)と単為結果性の変異体(右)の花トマト品种マイクロトムの花の色の薄い変异体(左)と野生株(右)

トマト品种
マイクロトムの野生株(左)と単為結果性の変異体(右)の花トマト品种
マイクロトムの花の色の薄い変异体(左)と野生株(右)


 単為結果性があるならどんな変異体でもよいというわけではありません。商品価値のあるトマトであるためには、収量、日持ち性、果実の質など品質面が高いことも大切です。有泉さんたちは、商品価値が高く、生育も安定している系統をすでにいくつか見つけています。そういう系統と既成の有用品種を交配させていけば、単為結果性をもつ上に市場価値の高い「未来志向型のトマト品种」の開発も、それこそ夢ではありません。それを実現するためには、単為結果が起こる遺伝的な仕組み、原因遺伝子の解明も欠かせません。仕組みがわかれば、トマト以外の野菜や果樹への応用も可能です。有泉さんたちは、興味深い遺伝的な仕組みをいくつか見つけているほか、メロンの研究も進めています。健康に良いカロテノイド(カロチノイド)含有量が高いトマトの変異系統を研究する過程で、果実ではなく花の色に関係する遺伝子も見つけました。その発見は、農林水産省の花き研究所との共同研究に発展しています。


 有泉さんは、东北大学の大学院ではイネの研究をしていました。ワシントン州立大学でのポスドク时代はシロイヌナズナというモデル植物を用いた基础研究をしていました。筑波大学のポストに就けたのは、ちょうど、再び有用植物の研究をしたいと思っていた矢先のことでした。ただし最初から顺调な滑り出しではありませんでした。地道に成果を积み上げ、5年目を迎える顷から研究が花开き出しました。今は、兴味深い现象の遗伝的仕组みを探る基础研究が応用にも直结する研究の醍醐味を、日々実感しています。


文責:広報室 サイエンスコミュニケーター


関连リンク